dhcpd.conf(5) dhcpd.conf(5)
名前
dhcpd.conf - dhcpd の設定ファイル
説明
dhcpd.conf は、Internet Software Consortium DHCP サーバ dhcpd の設定情
報が書かれたファイルです。
dhcpd.conf ファイルは自由形式の ASCII テキストファイルです。 dhcpd に組
み 込まれた再帰下降型のパーザによって解釈されます。このファイルには、整
形の目的で余分なタブや改行を入れてもかまいません。このファイルでは、 キ
ー ワードの大文字小文字は区別されません。コメントはファイルのどこにでも
入れられます (クォートの内部を除く)。コメントは # 文字で始まり、行末 で
終わります。
このファイルは基本的には文 (statement) のリストからなります。文は大きく
二つのカテゴリに分けられます。パラメータ文と宣言文です。
パラメータ文は、なにかをどの様に行うか (例えば提供するリースの長さ)、な
に かを行うかどうか (例えば素性のわからないクライアントにもアドレスを与
えるかどうか)、クライアントにどの様なパラメータを与えるか (例えばゲート
ウェイとして 220.177.244.7)、などを決めます。
宣 言文は、ネットワークのトポロジーを記述したり、ネットワークのクライア
ントを記述したり、クライアントに割り当て可能なアドレスを決めたり、ひ と
ま とまりのパラメータを宣言文のグループに与えたりするために用います。パ
ラメータ文や宣言文のグループにおいては、ある宣言文が依存するパラメー タ
文は、その宣言文よりも前に指定しなければなりません。
ネ ットワークトポロジーに関する宣言には shared-network 文と subnet 文が
あります。サブネットにあるクライアントがアドレスを動的に割り当てても ら
う場合は、 subnet 宣言の内部に range 宣言文も必要になります。静的にアド
レスが割り当てられたクライアントや、素性のわかっているクライアントに の
みアドレスを提供するような設定では、このようなクライアントに対して host
宣言文が必要です。特にサブネットに関連付けられていない宣言グループに 何
らかのパラメータを与えたい場合は、 group 宣言文が使えます。
サービスを受けるサブネットや、dhcp サーバが接続するサブネットには、すべ
て subnet 宣言が必要となります。これによって dhcpd は、あるアドレスがそ
の サブネットにあることを認識するのです。 subnet 宣言は、そのサブネット
に動的割り当てを受けるアドレスがなくても必要です。
場合によっては、一つの物理的なネットワークに上で 2 つ以上の IP サブネッ
トが動作することがあります。例えば、組織のルールで 8 ビットのサブネット
マスクを使っているとしましょう。このときある部門で、一つの物理イーサ ネ
ットネットワークに接続するノードが 254 を越えてしまったら、新しい物理ネ
ットワークが追加できるまでは、そのイーサネットで 8 ビットのサブネットを
2 つ走らせなければならないでしょう。このような場合には、これらの 2 つの
ネットワークに対する subnet 宣言は、 shared-network (共有ネットワー ク)
宣言で囲うことができます。
サイトによっては、ある部門のクライアントが 2 つ以上のサブネットに接続さ
れていることもあるでしょう。このときこれらのクライアントに共通のパラ メ
ー タを与え、かつ同じサブネットにいる別の部門のクライアントには違うパラ
メータを与えたいとしましょう。 host 宣言によって明示的に宣言するクラ イ
アントでは、これらを group 宣言によって囲って、その部門に共通のパラメー
タを与えることができます。アドレスが動的に割り当てられるクライアント で
は 、今のところネットワークトポロジーによる他には、グループ単位でのパラ
メータ割り当てを行う方法はありません。
あるクライアントがブートする場合、そのブートパラメータを決定するには 、
ま ずそのクライアントの host 宣言が (存在すれば) 参照されます。次にその
host 宣言を囲っている group 宣言が (存在すれば) 参照されます。その次 に
は ブートするクライアントが所属するサブネットの subnet 宣言が参照され、
さらにそのサブネットを囲っている shared-network 宣言が (存在すれば) 参
照 されます。最後に、すべての宣言の外部に置かれている、トップレベルのパ
ラメータが参照されます。
dhcpd がクライアントに対応する host 宣言を探すときには、まずそのクラ イ
ア ントがブートしようとしているサブネット (または共有ネットワーク) にマ
ッチする fixed-address パラメータを含む host 宣言を探します。そのような
エントリがなければ、 fixed-address パラメータが含まれないエントリを探し
ます。そのようなエントリもなければ、たとえそのクライアントのエントリ が
別のサブネットや共有ネットワークにあっても、 dhcpd はそのクライアントの
エントリが dhcpd.conf ファイルには存在しないかのように動作します。
例
よくある dhcpd.conf ファイルの例を示します:
global parameters...
shared-network ISC-BIGGIE {
shared-network-specific parameters...
subnet 204.254.239.0 netmask 255.255.255.224 {
subnet-specific parameters...
range 204.254.239.10 204.254.239.30;
}
subnet 204.254.239.32 netmask 255.255.255.224 {
subnet-specific parameters...
range 204.254.239.42 204.254.239.62;
}
}
subnet 204.254.239.64 netmask 255.255.255.224 {
subnet-specific parameters...
range 204.254.239.74 204.254.239.94;
}
group {
group-specific parameters...
host zappo.test.isc.org {
host-specific parameters...
}
host beppo.test.isc.org {
host-specific parameters...
}
host harpo.test.isc.org {
host-specific parameters...
}
}
Figure 1
ファイルの先頭にはグローバルなパラメータのための場所があることにお気 づ
き になったかと思います。ここでは組織のドメイン名、ネームサーバのアドレ
ス (組織全体に共通のものがあれば) などを指定します。従って、例えば次 の
ようになるでしょう。
option domain-name "isc.org";
option domain-name-servers ns1.isc.org, ns2.isc.org;
Figure 2
Figure 2 にあるとおり、パラメータに与えるホストのアドレスは、数値形式の
IP アドレスではなくドメイン名で与えてもかまいません。与えられたホスト名
が 1 つ以上の IP アドレスに解決される (例えばホストがイーサネットインタ
ーフェースを 2 つ持っているなど) 場合には、クライアントにはすべてのアド
レスが渡されます。
Figure 1 からわかるとおり、shared-network 文も subnet 文もパラメータを
取ることができます。ここで共有ネットワーク ISC-BIGGIE は部門 (例えば 経
理 部門) 全体をサポートしているとしましょう。経理部門には自前のドメイン
があるとすると、 shared-network 専用のパラメータとして以下を与えるべ き
でしょう。
option domain-name "accounting.isc.org";
すると shared-network 宣言の内部にある subnet 宣言では、 domain-name オ
プションは単なる "isc.org" ではなく "accounting.isc.org" になります。
Figure 1 のように subnet に固有のパラメータを与えたいのは、当然ながら、
サ ブネットはそれぞれ違ったルータを必要とするからです。したがって最初の
サブネットには、例えば以下のような文が置かれることになるでしょう。
option routers 204.254.239.1;
ここではアドレスは数値で指定されています。これは必須ではありません。 も
し ルータの各インターフェースが別々のドメイン名を持っているなら、そのイ
ンターフェースの指定には、数値でなくドメイン名を用いても全くかまいま せ
ん 。しかしながら、多くの場合ルータの IP アドレスそれぞれには一つの同じ
ドメイン名がつけられているでしょうから、ここでその名前を用いるのは適 切
ではないでしょう。
Figure 1 で は、group 文も使われており、 3 つのホスト (zappo, beppo,
harpo) に共通のパラメータをあたえています。おわかりのように、これらのホ
ス トはすべて test.isc.org ドメインに属しています。したがってこれらのホ
ストには、グループ固有のパラメータとしてドメイン名を上書きするかたち で
与えるのが良いでしょう。
option domain-name "test.isc.org";
ま た、所属するドメイン名から想像できるように、これらはおそらくテスト用
のマシンでしょう。 DHCP 貸し出し機構をテストする場合には、貸し出しの 期
限をデフォルトよりは少々短くしておくのが良いでしょう。
max-lease-time 120;
default-lease-time 120;
これまでのところで、option キーワードによって始まるパラメータと、そうで
ないパラメータとがあることにお気づきになったでしょうか。 option キー ワ
ー ドで始まるパラメータは、実際の DHCP オプションに関連したものです。そ
うでないものは、 DHCP サーバの動作を制御するもの (例えば dhcpd が提供す
る 貸し出しの期限など) か、 DHCP プロトコルでは提供されていないクライア
ント用のパラメータ (例えばサーバ名やファイル名) です。
Figure 1 では、各ホストは「ホスト固有のパラメータ」を持っていました。こ
れ らには例えば、hostname オプション、取得するするファイル (filename パ
ラメータ)、ファイルを取得するホスト (next-server パラメータ) などが含ま
れ ます。一般的には、パラメータを指定できる場所にはどんなパラメータでも
指定でき、そのパラメータは置かれた場所のスコープにしたがって適用され ま
す。
NCD の X 端末がたくさんあるようなサイトを想像してください。これらの端末
にはさまざまなモデルがあるので、それぞれのモデルに対して別々のブート フ
ァ イルを指定したいとします。これを行う一つの方法は、各端末に host 宣言
をさせ、それらをモデルごとに group 化することです。
group {
filename "Xncd19r";
next-server ncd-booter;
host ncd1 { hardware ethernet 0:c0:c3:49:2b:57; }
host ncd4 { hardware ethernet 0:c0:c3:80:fc:32; }
host ncd8 { hardware ethernet 0:c0:c3:22:46:81; }
}
group {
filename "Xncd19c";
next-server ncd-booter;
host ncd2 { hardware ethernet 0:c0:c3:88:2d:81; }
host ncd3 { hardware ethernet 0:c0:c3:00:14:11; }
}
group {
filename "XncdHMX";
next-server ncd-booter;
host ncd1 { hardware ethernet 0:c0:c3:11:90:23; }
host ncd4 { hardware ethernet 0:c0:c3:91:a7:8; }
host ncd8 { hardware ethernet 0:c0:c3:cc:a:8f; }
}
リファレンス: 宣言文
shared-network 文
shared-network name {
[ parameters ]
[ declarations ]
}
shared-network 文は、複数の IP サブネットが実際には一つの物理ネットワー
ク を共有していることを DHCP サーバに伝えるために用います。共有ネットワ
ーク内にあるサブネットは、 shared-network 文の内部で宣言するようにす べ
き です。 shared-network 文の内部で指定されたパラメータは、それらのサブ
ネットでブートしたクライアントによって用いられます (ただしそのパラメ ー
タがサブネットやホストレベルで上書きされた場合を除く)。共有ネットワーク
に属するサブネットに動的割り当て可能なアドレスがあると、これらのアド レ
ス は共有ネットワーク用の場所に共通にプールされ、必要に応じてクライアン
トに提供されます。あるクライアントが、(共有ネットワークに属する) どのサ
ブネットからブートさせるべきかを識別する方法はありません。
name には共通ネットワークの名前を指定しておきましょう。この名前はデバッ
グメッセージの出力時に用いられるので、その共通ネットワークの認識に役 立
ち ます。名前にはドメイン名として有効な書式 (ただしドメイン名としては用
いられない) が使えます。あるいはクォートすればどんな名前でも使えます。
subnet 文
subnet subnet-number netmask netmask {
[ parameters ]
[ declarations ]
}
subnet 文は、ある IP アドレスが特定のサブネットに属しているかどうか判断
するための情報を dhcpd に与えるために用います。またサブネット固有のパラ
メータを指定したり、そのサブネットでブートしたクライアントに動的割り 当
て 可能なアドレスを指定するためにも利用されます。後者のようなアドレスは
range 宣言で指定されます。
subnet-number には IP アドレスか、あるいは宣言するサブネットの IP 番 号
に解決されるドメイン名を与えます。 netmask には IP アドレスか、あるいは
宣言するサブネットのサブネットマスクに解決されるドメイン名を与えます 。
サ ブネット番号とネットマスクとを与えると、ある与えられた IP 番号がその
サブネットに属しているかどうかを判断できるようになります。
ネットマスクはすべての subnet 宣言に必要ですが、あるサイトの内部で用 い
ているサブネットマスクに複数の種類がある場合は、 subnet-mask オプション
文を各 subnet 宣言の内部で用いて、適切なサブネットマスクを設定するこ と
もしておくべきです。なぜかというと、subnet-mask オプション文は、 subnet
文で宣言されたサブネットマスクより優先されるからです。
range 文
range [ dynamic-bootp ] low-address [ high-address];
動的に割り当てられるアドレスを含むサブネットでは、少なくとも range 文を
一つ指定しなければなりません。 range 文には IP アドレスの範囲の最小値・
最大値を与えます。その範囲に入る IP アドレスのすべては、 range 文が宣言
さ れたサブネットの中に入っている必要があります。指定した範囲のアドレス
を DHCP クライアントと BOOTP クライアントの両方に割り当てて良い場合は、
dynamic-bootp フラグを指定します。アドレス 1 つだけを割り当てる場合は、
high-address は省略できます。
host 文
host hostname {
[ parameters ]
[ declarations ]
}
サービス対象となる BOOTP クライアントには、それぞれ host が最低ひとつづ
つ 必要になります。 DHCP クライアントに対しても host 文は指定できますが
、素性のわからないホストにはブートを許可しないような設定でなければ、 指
定しなくてもかまいません。
ある DHCP クライアントや BOOTP クライアントを、複数のサブネットにおいて
固定アドレスでブートさせたい場合には、 fixed-address パラメータに複数の
アドレスを指定するか、あるいは host 文を複数指定します。
ク ライアント固有のブートパラメータを、接続されたネットワークによって代
えなければならない場合には、 host 文を複数用いるべきです。
可能な場合にはクライアントを固定アドレスでブートさせたいが、それがで き
な ければ動的なアドレスを割り当てたい、という場合には、 host 文の内部で
は fixed-address 文を指定しないようにします。
host 宣言を実際の DHCP クライアントや BOOTP クライアントにマッチさせ る
際 には、 host 宣言の内部で指定された dhcp-client-identifier オプション
が、クライアントが渡してきた識別子とマッチするかを確認します。もし host
宣 言の内部に dhcp-client-identifier がなかったり、クライアントがこの識
別子を渡してこなかった場合には、 host 宣言の内部で指定され た hardware
パ ラメータが、クライアントが渡してきたハードウェアアドレスとマッチする
かを確認します。 BOOTP クライアントは通常 dhcp-client-identifier を渡さ
ないので、 BOOTP プロトコルでブートさせるクライアントに対しては、必ずハ
ードウェアアドレスを用いなければなりません。
group 文
group {
[ parameters ]
[ declarations ]
}
group 文は、なんらかのパラメータを宣言のグループに適用するために用い ま
す 。ホスト、共有ネットワーク、サブネット等をまとめたり、あるいは他のグ
ループをまとめることもできます。
リファレンス: ALLOW と DENY
allow 文と deny 文を使うと、いろいろな要求に対する dhcpd の振る舞いを制
御できます。
unknown-clients キーワード
allow unknown-clients;
deny unknown-clients;
素性のわからない (unkown な) クライアントに動的にアドレスを割り当てるか
どうかを dhcpd に指示します。デフォルトでは unkown なクライアントへの動
的アドレス割り当ては allow (許可) されています。
bootp キーワード
allow bootp;
deny bootp;
bootp フラグは、 bootp クエリ (問い合わせ) に答えるかどうかを dhcpd に
指示します。デフォルトでは bootp クエリは allow (許可) されています。
booting キーワード
allow booting;
deny booting;
booting フラグは、特定のクライアントからのクエリに答える か ど う か を
dhcpd に指示します。このキーワードは、host 宣言の内部に置かれた場合にの
み意味を持ちます。デフォルトでは booting は allow (許可) されています。
し かしこれを特定のクライアントに対して無効にすると、そのクライアントは
この DHCP サーバからはアドレスを取得できなくなります。
リファレンス: パラメータ
default-lease-time 文
default-lease-time time;
time は秒単位の時間で、貸し出しを要求しているクライアントが特に期限を求
めなければ、この時間が貸し出し時間になります。
max-lease-time 文
max-lease-time time;
time は秒単位の時間で、貸し出しを要求しているクライアントが期限を求めた
場合に、割り当て可能な最大の貸出時間です。
hardware 文
hardware hardware-type hardware-address;
BOOTP クライアントが認識されるためには、 host 文の内部で hardware 指 定
に よってそのネットワークハードウェアアドレスが指定されていなければなり
ません。 hardware-type は物理ハードウェアインターフェースの形式名です。
現在のところは ethernet と token-ring だけが認識されます (fddi などのハ
ードウェア型も認識されると良いのでしょうが)。 hardware-address は 16 進
オ ク テ ッ ト (0 から ff までの数値) のセットで、区切りはコロンです。
hardware 文は DHCP クライアントにも用いることができます。
filename 文
filename "filename";
filename 文はクライアントにロードさせる初期ブートファイルの指定に使いま
す 。 filename はクライアントが使うであろうファイル転送プロトコルで認識
されるファイル名でなければなりません。
server-name 文
server-name "name";
server-name 文はクライアントに接続中のサーバの名前を伝えるために用い ま
す。 name はクライアントに渡される名前です。
next-server 文
next-server server-name;
next-server 文は初期ブートファイル (filename 文で指定したもの) をロード
するサーバのホストアドレスを指定するために使います。 server-name は数値
の IP アドレスかドメイン名です。接続してきたクライアントに対して与える
べき next-server パラメータがなければ、DHCP サーバの IP アドレスが用 い
られます。
fixed-address 文
fixed-address address [, address ... ];
fixed-address 文は、あるクライアントに対して一つまたは複数の IP アドレ
スを割り当てるために用います。 host 宣言の内部でのみ用いられます。複 数
の アドレスが指定された場合には、そのクライアントがブートするネットワー
クに所属するアドレスが割り当てられます。クライアントがブートするネッ ト
ワークに属するアドレスが fixed-address 文にない場合は、そのクライアント
はその fixed-address 文が含まれる host 宣言にマッチしないことになります
。各 address は IP アドレスか、一つ (または複数) の IP アドレスに解決さ
れるドメイン名です。
dynamic-bootp-lease-cutoff 文
dynamic-bootp-lease-cutoff date;
dynamic-bootp-lease-cutoff 文は、動的に割り当てた BOOTP クライアント へ
のすべての貸し出しを終了させる時刻を設定します。 BOOTP クライアントは貸
し出しを更新する機構を持たず、また貸し出しがいつ期限切れになるかを知 ら
な いので、デフォルトでは dhcpd は BOOTP クライアントへは無期限の貸し出
しを行います。しかし、ある場合には BOOTP の貸し出し停止に意味があるかも
し れません。例えば学期の最後や、夜中のある時間になると施設が閉まって、
すべてのマシンが電源停止になるような場合などです。
date は割り当てられた BOOTP 貸し出しのすべてが終了する時刻です 。 date
は以下の書式で指定します。
W YYYY/MM/DD HH:MM:SS
W は曜日を数値で指定したもので、0 (日曜日) から 6 (土曜日) までです。
YYYY は年で、世紀の桁も指定します。 MM は月を数値で指定したもので 、 1
から 12 マデです。 DD は月内日を数値で指定したもので、 1 から数えます。
HH は時間で、0 から 23 までです。次の MM は分で、SS は秒です。時刻は 常
に協定世界時 (UTC) で指定します (地方時ではありません)。
dynamic-bootp-lease-length 文
dynamic-bootp-lease-length length;
dynamic-bootp-lease-length 文は BOOTP クライアントへの動的割り当ての貸
し出し期間の設定に用います。サイトによっては、一度アドレスを貸し出し た
クライアントから一定の間 BOOTP や DHCP での再割り当て要求がなければ、そ
のアドレスはもう使われない、とみなすことが可能かもしれません。貸出機 関
は length に秒単位で指定します。その期間のうちにクライアントが BOOTP を
用いて再ブートすると、貸し出し期間も length にリセットされます。した が
って頻繁にブートする BOOTP クライアントは、割り当てられたアドレスをずっ
と保持し続けます。言うまでもありませんが、このパラメータは細心の注意 を
払って決めてください。
get-lease-hostnames 文
get-lease-hostnames flag;
get-lease-hostnames 文は、貸し出し用にプールされている IP アドレスのド
メイン名を引き、そのアドレスを DHCP hostname オプションに用いるかどうか
を dhcpd に伝えるために用います。 flag が真ならば、現在のスコープにある
すべてのアドレスに対してこの名前引きが実行されます。デフォルトでは flag
は偽で、名前引きは行われません。
use-host-decl-names 文
use-host-decl-names flag;
use-host-decl-names パラメータがその置かれたスコープで真 (true) だと、
そのスコープに置かれたすべての host 宣言において、宣言に使われた名前 が
ホスト名としてクライアントに渡されます。したがって例えば、
group {
use-host-decl-names on;
host joe {
hardware ethernet 08:00:2b:4c:29:32;
fixed-address joe.fugue.com;
}
}
は次と全く同じになります。
host joe {
hardware ethernet 08:00:2b:4c:29:32;
fixed-address joe.fugue.com;
option host-name "joe";
}
host 宣言の内部に置かれた option host-name 文は、宣言に用いられた名前よ
りも優先されます。
authoritative 文
authoritative;
not authoritative;
通常 DHCP サーバは、あるネットワークセグメントの設定情報は正しくかつ 信
頼 できるとみなしています。よってクライアントがあるネットワークセグメン
トの IP アドレスを要求したとき、サーバがそれがそのセグメントでは正し く
ないことを知っていると、サーバは DHCPNAK メッセージを返します。するとク
ライアントはその IP アドレスを忘れ、新しいアドレスを取得しようとしま す
。
DHCP サーバがネットワーク管理者ではない人間によって設定され、よってこの
レベルの権威を持たせたくない場合には、設定ファイルの適切なスコ ー プ に
"not authoritative" という文を入れておくと良いでしょう。
通常は、 not authoritative をファイルのトップレベルに書いておけば十分で
す。しかし、あるネットワークに対しては権威を持たせ、別のネットワーク に
対 しては持たせないように DHCP サーバを設定したい場合には、ネットワーク
セグメント単位で authority を宣言するほうが良いでしょう。
authority が意味を持つスコープは、物理ネットワークセグメントの単位で す
。すなわち shared-network 文か、 shared-network 文の内部にはない subnet
文です。共有ネットワークに属しているサブネットの一部のみに対してサー バ
に 権威を持たせても意味はありません。また一部の host 宣言に対してのみサ
ーバに権威を持たせても、同じく意味はありません。
use-lease-addr-for-default-route 文
use-lease-addr-for-default-route flag;
use-lease-addr-for-default-route パラメータがその置かれたスコープで真だ
と、 routers オプションで指定した値を送る (あるいは値を全く送らない) 代
わりに、割り当てようとしている IP アドレスをクライアントに送ります。 こ
う すると Win95 マシンはすべての IP アドレスを ARP するようになり、使っ
ているルータが proxy ARP に設定されている場合には役に立ちます。
use-lease-addr-for-default-route が有効になっていて、 option routes 文
も 同じスコープにある場合には、 routes オプションが優先されます。この理
由は、この機能を使いたい局面では、たくさんある Windows 95 マシンすべ て
に はこの機能を有効にし、その他数台のマシンではこれを無効にしたくなるだ
ろうからです。不幸にして状況が逆の場合は、このフラグは用いないほうが た
ぶん良いでしょう。
always-reply-rfc1048 文
always-reply-rfc1048 flag;
BOOTP クライアントの中には、受信には RFC1048 形式のものを期待するのに、
送信では RFC1048 を守らないものがあります。あるクライアントがこの問題を
抱 えている場合には、そのクライアントは設定したオプションを取得せず、ま
た BOOTREQUEST するたびにサーバのログに "(non-rfc1048)" というメッセ ー
ジが現れます。
このようなクライアントに rfc1048 オプションを送信したい場合は、そのクラ
イアントの host 宣言に always-reply-rfc1048 を設定します。する と DHCP
サ ーバは RFC-1048 形式のベンダーオプションフィールドを用いて応答します
。このフラグはどのスコープにも設定でき、そのスコープでカバーされるす べ
てのクライアントに適用されます。
server-identifier 文
server-identifier hostname;
server-identifier 文は、それが置かれたスコープ内において、 DHCP サーバ
識別子オプションで送られる値を定義するために用います。指定する値は DHCP
サ ーバの IP アドレスでなければならず、そのスコープにおいてサービスを受
けるすべてのクライアントから到達可能でなければなりません。
server-identifier 文の使用は勧められません。唯一の利用局面は、デフォ ル
ト で送られる値が間違っている場合に、その値を別のものに変更する場合だけ
です。デフォルトの値は、要求が到達した物理ネットワークインターフェー ス
に関連付けられた最初の IP アドレスです。
server-identifier 文が必要になるのは、物理インターフェースに複数の IP
アドレスがついていて、デフォルトで送られるアドレスが、サービスを受け る
一 部または全部のクライアントにとって適切ではない場合です。他にあり得る
例としては、 DHCP サーバの IP アドレスを一貫させるために IP エイリア ス
が 定義されており、クライアントがサーバいん接続する際にはこの IP アドレ
スを用いるのが望ましい場合があります。
リファレンス: オプション文
DHCP オプション文はマニュアルページ dhcp-options(5) で説明されていま す
。
関連項目
dhcpd.conf(5), dhcpd.leases(5), RFC2132, RFC2131.
著者
dhcpd(8) は Ted Lemon
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