ypbind(8) ypbind(8)
名前
ypbind - NIS バインドプロセス
書式
ypbind [ -c ] [ -d|-debug ] [ -broadcast ] [ -broken-server ] [ -ypset
] [ -ypsetme ] [ -no-ping ] [ -f configfile ]
ypbind --version
説明
ypbind は NIS ドメインのサーバを探して接続し、その NIS バインド情報を保
持する。クライアント (通常は標準 C ライブラリの NIS ルーチン) は ypbind
への RPC を用いて、あるいはバインドファイルを読むことによってこの情報を
入手することができる。バインドファイルは /var/yp/binding に置かれており
、慣習にしたがって [domainname].[version] のような名前が付けられてい る
。 サポートされているバージョンは 1 と 2 である。このようなファイルが複
数存在することもあり得る。なぜなら NIS クライアントは複数のドメインにバ
インドすることもできるからである。
バインドが確立すると、 ypbind は YPPROC_DOMAIN リクエストを 20 秒間隔で
現在の NIS サーバに送信する。返信が返ってこなかったり、NIS サーバから「
当該ドメインの情報はもう保持していない」旨の返信が来た場合には、 ypbind
は新しい NIS サーバを探す。 ypbind は 15 分ごとに、現在の NIS サーバ が
も っとも高速であるかどうかのチェックを行う。もしより高速なサーバがあれ
ば、そちらに接続を切り替える。新しいサーバを探すときには、 ypbind に ネ
ッ トワークブロードキャストを用いるようにさせることもできるし (これは安
全でない)、または安全なことがわかっているサーバのリストを与え、その中か
ら 探すようにさせることもできる。後者の場合は、 ypbind はすべてのサーバ
に ping を送り、最初に答えたサーバにバインドする。
-debug オプションが指定されなかった場合は、 ypbind は自分自身を制御端末
か ら分離してバックグラウンドへ置く。 ypbind はエラーや警告メッセージの
記録に syslog(3) を用いる。起動時や SIGHUP シグナルを 受 け 取 る と 、
ypbind は /etc/yp.conf ファイルをパースして、そのエントリを用いて最初の
バインドを行おうとする。有効なエントリは以下のようなものである。
domain nisdomain server hostname
ドメイン nisdomain の情報をサーバー hostname から取得する。こ の
指定は、一つのドメインに対して複数回行ってかまわない。
domain nisdomain broadcast
ド メイン nisdomain に対してはローカルネットにブロードキャストを
行う。
ypserver hostname
ローカルドメインの情報をサーバー server から取得する。
設定ファイルに broadcast エントリがあった場合は、 ypserver/hostname エ
ントリは上書きされる。 boradcast エントリがなかった場合は、その他のエン
トリで与えられたサーバ全てがダウンしている場合でも、 ypbind はブロー ド
キ ャストは用いない。 ypbind が /etc/yp.conf で与えられたホスト名の解決
をする際には、まず /etc/hosts を試し、次に DNS を用い よ う と す る 。
ypbind は検索順序の再設定ができない場合には、 DNS だけを用いる。 DNS が
使えない場合には、 /etc/hosts に IP アドレスの書かれているホストしか 指
定できない。 ypbind で検索順序の再設定をするためには glibc 2.x が必要で
ある。 -boradcast オプションが指定された場合には、 ypbind は設定ファ イ
ル を無視する。設定ファイルが存在しなかったり、有効なエントリがひとつも
なかった場合には、 ypbind は終了する。
この ypbind は pthreads を用いた特殊なバージョンである。この ypbind は
2 つのスレッドを新たに生成する。マスタープロセスはバインド情報を尋ねて
くる RPC リクエストにサービスする。最初のスレッドはバインドを初期化して
、 それを定期的にチェックする。障害が起こった場合にはバインドは無効とな
り、このプロセスは有効なサーバを再び見つけようとする。二つめのスレッ ド
はすべてのシグナルを処理する。
オプション
-broadcast
適 切な NIS サーバにバインドするために必要な情報を収集するため、
ブロードキャストを送る。このオプションを指定すると /etc/yp.conf
は無視される。
-ypset 任意のリモートマシンから、 ypset(8) を用いてドメインに対するバイ
ンドを変更する許可を root に与える。デフォルトではバインドを変更
することは誰にもできない。このオプションは非常に危険である。ドメ
インに対するバインドを変更すると、認識していたそのドメインのサー
バを全て忘れてしまう。もしその新しいサーバがダウンした場合には、
ypbind は古い検索リストを用いることになる。
-ypsetme
-ypset と同じだが、ローカルマシンの root だけがバインドを変更 で
きる。そのような要求は loopback からのみ許される。
-c 設定ファイルに文法エラーがないかどうかをチェックして、そのまま単
に終了する。
-debug ypbind をデバッグモードで起動する。 ypbind は自身をバックグラ ウ
ンドに送らず、エラーメッセージとデバッグ出力を標準エラー出力に書
き出す。
-broken-server
正しくないポート番号で動作しているサーバからの返事を受け取る。こ
れ は通常用いるべきでないが、 ypserv(8) のバージョンによっては必
要とされることもある。
-no-ping
バインドが持続しているかをチェックしない。このオプションはダイア
ルアップ接続の場合に便利である。 ypbind のみによる不必要な接続を
切ったり、オートダイアルをしないようにできる。
-f configfile
/etc/yp.conf の代わりに configfile を用いる。
--version
バージョン番号を表示する。
注意
複数ドメインへのバインドもテストされており、動作する。単一ドメインに お
け る複数サーバへの負荷分散はサポートされていない。 ypbind は常にドメイ
ンをサーバへバインドしようとする。リストに有効なサーバがない場合や、 ブ
ロ ードキャストに対する反応がない場合には、ドメインへのバインドは解除さ
れる。
ファイル
/etc/yp.conf
設定ファイル。
/var/yp/binding/[domainname].[version]
各々の NIS ドメインに関する情報を含むバインドファイル。
/var/run/ypbind.pid
現在動作している ypbind マスタープロセスのプロセス id が書かれて
いるファイル。
関連項目
syslog(3), domainname(1), ypdomainname(8), ypwhich(1), ypserv(8),
ypset(8)
著者
ypbind-mt は Thorsten Kukuk
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