Linuxコマンドpwdの-Pオプション解説|シンボリックリンクを解決して物理パスを確認する方法
生徒
「Linuxでカレントディレクトリを確認するpwdコマンドってよく使いますよね。でも-Pオプションって何に使うんですか?」
先生
「良いところに気づきましたね。pwd -Pを使うと、シンボリックリンクを無視して本当の物理的なディレクトリのパスを表示できるんですよ。」
生徒
「シンボリックリンク?それってなんですか?」
先生
「シンボリックリンクは、いわば“ショートカット”のようなものです。本当の場所ではなく、別のディレクトリやファイルへの案内標識みたいな役割をします。では、pwd -Pの具体的な使い方を見てみましょう!」
1. pwdコマンドとは?
pwdは「print working directory」の略で、今いるディレクトリ(作業中の場所)のパスを表示するLinuxコマンドです。初心者にとって「自分が今どこの階層にいるのか」を知ることはとても重要です。例えば、Windowsで「エクスプローラーのアドレスバー」に表示されるフォルダの場所と同じイメージです。
pwd
/home/user/Documents
このように、コマンドを入力するとカレントディレクトリのパスが表示されます。
2. シンボリックリンクとは?
シンボリックリンクとは、Linuxにおける「ショートカットファイル」です。例えば、長いディレクトリの奥にあるフォルダに、すぐアクセスできる“別名の道しるべ”を作るようなイメージです。見た目は普通のディレクトリに見えても、実際は別の場所を指していることがあります。
例として、/var/www/htmlという本当のフォルダに対して、/home/user/webというシンボリックリンクを作ったとします。
3. pwdとpwd -Pの違い
通常のpwdを実行すると、シンボリックリンクの「見かけのパス」が表示されます。
cd /home/user/web
pwd
/home/user/web
一方でpwd -Pを実行すると、シンボリックリンクを解決して、本来の「物理的なパス」が表示されます。
pwd -P
/var/www/html
つまり、-Pオプションをつけることで、本当に作業しているディレクトリがどこなのかを確認できるのです。
4. 具体的な利用シーン
初心者がLinuxを使っていると、「どのフォルダで作業しているのか」が分からなくなりがちです。特にシンボリックリンクを多用している環境では、pwdだけでは誤解を招くことがあります。
- プログラムの設定ファイルを編集するとき、本当のディレクトリを確認したい場合
- システム管理者がシンボリックリンクを使って便利なショートカットを用意している場合
- Webサーバーやアプリケーションの本当の設置場所を確認したい場合
こうした場面では、pwd -Pを実行することで「ここが本当の作業ディレクトリだ」と理解できるようになります。
5. pwdコマンドのその他のオプション
pwdには-P以外に-Lというオプションもあります。
pwd -L… 論理パスを表示(シンボリックリンクをそのまま表示)pwd -P… 物理パスを表示(シンボリックリンクを解決して表示)
特に指定がない場合、環境によってはデフォルトで-L動作をすることが多いです。混乱を避けたいときは、明示的に-Pを指定するのがおすすめです。
6. 初心者向け補足|なぜ物理パスが大事なのか
シンボリックリンクを通して作業をしていると、実際の場所と表示される場所が違うために「ファイルが見つからない」「設定が反映されない」といったトラブルにつながることがあります。例えば、/home/user/webで作業していると思っていたら、実際には/var/www/htmlで編集していた、というケースです。
Linux学習の初期段階では、pwd -Pで本当のパスを確認する癖をつけておくと混乱を避けられます。